今号から、友の会の賛助会員で脊椎炎の専門医である順天堂大学 膠原病内科の小林茂人医師が、ASに関する海外の学術文献から会員の 皆さんにとって興味深いテーマの論文を選んで、その邦訳を寄稿して 下さることになりました。 ASの温泉運動療法の有効性について 小林 茂人 目的: AS患者さんの治療として、温泉運動療法の効果を検討した。方法: 120名のオランダ人の外来患者さんを、40名ずつ3つのグループに ランダムに割り当てた。グループ1は(48±10歳、男女比25:15) オーストリアのBad Hofgasteinの温泉リゾートで、グループ2は (49±9歳、男女比28:12)オランダのArcen での温泉リゾートで、 温泉治療を行った。対照群は48±10歳で、男女の比34:6 、自宅に とどまって、毎週、集団理学療法を続けた。結果: 全体の改善度は経時的に有意な効果を示し(P < 0.001) 、 各グループ間での温泉治療効果も認められた(P = 0.004) 。 開始4週後の全体の改善度は、温泉治療のグループ1、グループ2を 対照群と比較すると、それぞれ有意に改善した。〔図1参照〕結論: AS患者さんにおいて、薬物治療と毎週の集団理学療法に加えて、 温泉運動療法の3週間コースは有効であり、この効果は、少なくとも 40週間続くと考えられた。
図1 訳者注:最近ASの運動療法の有効性に関する 報告が多く取り上げられている。運動療法 は特に重要であると考える。 |