ASの患者のみなさんへ
小松原 良雄
日本AS友の会々報にご挨拶できますことを光栄に存じております。
ASという略字はankylosing spondylitisの頭文字をとったもので、
日本語では強直性脊椎炎という病名が用いられています。ギリシャ語で
曲がっているという意味のankylosと脊椎を表すspondylosを合わせた
言葉で、この病気にかかり長く放置されていますと、脊椎が前に弯曲して
高度の円背の姿勢をとる症状の特徴を表している病名です。
末梢関節炎も起こるので慢性関節リウマチと間違って診断されることも
ありますが、別の病気です。しかし炎症により起こってくる病気ですので、
広い意味のリウマチ性疾患のひとつにあげられています。
原因不明ですが体質・素質が発病に関係しているので人種により頻度に
差があります。欧米や中国と比較しますと約1/10以下とわが国では稀な
病気といえますが、全国では何千人かの患者さんがおられると推定されます。
この病気のはじまりは腰痛や殿部の痛みでよく椎間板へルニアなどの
腰痛病と誤られる場合も多く、診断されるまでに数年以上たっている
患者さんも少なくありません。短期間に治ってしまう病気ではなく、
おそらく終生注意が必要となってまいります。治療剤がよく効いたから
といって油断はなりません。進行しますと高度の身体障害が生じます。
しかし、30年以上経過を調査した外国の報告では90%以上の患者さんは
日常生活を維持しているようで、この病気についてよく理解していれば
それほど心配しなくてもよいと思われます。
早い時期から正しい治療と生活についての配慮を考えていけば、
これにはリハビリテーションも入りますが、救われる患者さんも多くなる
と考えられます。
今回、日本AS友の会が発足し、患者さんの手により大きな世論が
広まれば出足の遅い国の対策も進むことが期待できます。同じような
患者さんの集まりは先進国ではすでに活発に活動されています。
福祉のみならず原因のわからないASの病因の追求や治療の研究が、
これを機会に全国で展開されていくことが予想されます。国のみならず
医療を担当するわれわれにどんなことを望まれるのか、患者さん方の声が
この会報に盛られるようにしてほしいと思います。
いづれにせよ、日本AS友の会の今後のご発展を祈念しております。
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