強直性脊椎炎患者に関する福祉制度


幹事  H


身体障害者手帳

 現在の症状で交付されるかどうかの判断ですが、 「らくちん第16号」に掲載されている等級表などを参考にするか、 都道府県及び政令指定都市または中核市から指定を受けた医師 (福祉課などで指定医師が在籍する医療機関の情報が得られます)、 もしくは日本AS友の会の医療部長でもある井上事務局長に相談する事をおすすめします。
 指定された医師が診断書等を作成しないと無効になるからです。

  1. 申請方法(お住まいの市区町村の福祉課にて申請用紙を受け取る)

    • 指定医に書類を作成して頂き、印鑑(認印)と顔写真1枚を持参し、 福祉課の窓口へ提出。
      (写真は手帳に貼り付ける為。縦4cmX横3cmスナップ写真でOKです)

    • 申請結果は概ね2ヶ月前後になる。


  2. 身体障害者手帳で助成が受けられる情報

    手帳申請をした自治体の福祉課で配布している福祉制度の資料を入手して下さい。
    通常は手帳交付と同時に配布される。(各自治体で独自制度が有るため)


第1種・第2種の区別

 「身体障害者に対する旅客鉄道株式会社等の旅客運賃の割引について」 という厚生労働省からの通知に定められて、JRの旅客運賃割引制度が根拠となっています。

定義もしっかりあり、身体障害者福祉法施行規則別表第5号に基づいています。
障害を2つ以上有する第2種の人の場合、第1種として認められるケースもあります。

第2種身体障害者
 第1種にあてはまらない人をいいます。


【自動車税・取得税の減免】

2010年4月より自動車税、取得税の上限が設定されましたので、 県税事務所に問い合わせをして下さい。 (総排気量・取得価格により減免額が違います)

(例)群馬県の場合
   自動車税…45,000円が上限です。
       (3,000ccの自動車を所有している場合51,000円
        となり、差額の6,000円は自己負担になります)

   取得税……300万円(課税標準額)

上記のとおり、平成25年度から改正。

  • 自動車納税通知書が届いたら、納期限5月31日迄に県税事務所 又は自動車税事務所で申請手続きをする。

  • 一度減免になると翌年より継続するかの確認ハガキが届きますから、 必要事項を記入し郵送する。


【駐車禁止除外標章の申請手続き】

 平成19年7月1日より、駐車禁止除外指定車標章の交付対象が車両ではなく、 身体障害者ご本人が対象となり交付されることになり、この改定に伴い、 車両変更の申請をする必要がなくなりました。

『除外標章使用上の注意事項』

  1. 駐車禁止等除外標章の交付を受けた身体障害者等本人が現に使用中の車両であり、 かつ当該標章を掲出している車両だけが除外対象車両となります。

  2. 除外標章は、公安委員会による駐車禁止規制が行われている道路の部分 以外の場所では使用出来ません。
     また、時間制限駐車区間(パーキングメーター及び パーキングチケット発給設備の設置場所)、 高齢運転者等専用駐車区間及び高齢運転者等専用時間制限駐車区間については、 指定された駐車枠(白線)内に指定された方法により駐車する以外は、 除外の対象とはなりません。
     なお、除外標章の使用は最小限にとどめ、 出来る限り路外駐車場を利用して下さい。

  3. 除外標章並びに運転者の連絡先又は用務先を記載した書面は、 車外から容易に確認出来るように前面ガラスの見やすい箇所に掲出して下さい。

  4. 警察官は、除外標章を掲出した駐車車両が要因となる交通渋滞 又は他の交通等に危険、迷惑等の影響を及ぼしている場合は、 運転者に対して車両の移動等の指示を行います。

  5. 警察官は、除外標章を掲出した駐車車両を確認した場合は、 除外標章が適正に使用されている事の確認を行うことがあります。

  6. 公安委員会による駐車禁止規制から除外される場所が 地域によって異なる場合がありますので、 除外標章を使用する場合はよく確認して下さい。


『申請手続』

  1. 申請者

    • 申請者は、「身体障害者等用除外標章交付対象者」に記載する手帳の種別、 障害の区分及び障害の等級に該当する身体障害者等本人です。

    • 申請は、申請者である身体障害者等本人が行って下さい。

    • また、身体的理由により申請することが困難であると認められる場合は、 申請代理人により申請することができます。
       この場合は、申請者との関係を証明出来る書面 及び申請代理人本人の確認が出来る運転免許証などを持参して下さい。

  2. 申請場所
      原則として、申請者の住所地を管轄する警察署(交通課)

  3. 申請書類

    • 申請書

    • 身体障害者手帳等

    • 住民票の写し(発行日から3か月以内のもの)

    • 申請代理人が申請する場合は、申請者との続柄が確認できるもの。


『障害の区分及び等級』

下肢不自由・・・1級から4級までの各級
体幹不自由・・・1級から3級までの各級

 ASに関連する項目のみ掲載しましたが、他の障害等に関する情報は住所地を管轄する 警察署のホームページ及び電話等で確認して下さい。


【有料道路通行料の減免一般料金の5割引】

『対象者』

  • 身体障害者本人が運転する場合。

  • 重度の身体障害者又は重度の知的障害者を乗せて介護者が運転する場合。
    (本人又は親族等が所有する営業用以外の乗用自動車。 ただし、介護者が運転する場合で、 本人又は親族等が車を所有していないときは、 重度障害者を継続して介護する者が所有する営業用以外の乗用自動車)


『申請手続き』
 市区町村の福祉課窓口(その場で、手帳に割引印を押してくれます)

『ETC処理の場合』
 減免を受ける車両にETC車載器の設置及びETCカード(クレジットカード)を用意し、 有料道路障害者割引申請書兼ETC利用申請書に必要事項を記入し福祉課の窓口へ提出。

『持参書類』
 ETC車載器セットアップ申込書、証明書・ETCカード本人名義・車検証・免許書・ 障害者手帳


【JR鉄道運賃の割引】

第1種障害者とその介護者
…普通乗車券、回数乗車券、普通急行券⇒5割引
(距離制限はありません)
 当然の事ながら本人単独でも適用されますが介護者だけの場合サービスはありま せん。

第2種障害者単独の利用で、100.1 km以上
…普通乗車券のみ⇒5割引
(特急券は通常金額です)

『定期乗車券』   第1種障害者(介護者つき)…5割引


【国内航空運賃の割引】

 『第1種』の身体障害者が単独か介護者と共に国内航空を利用する場合は、 本人及び介護者1名の運賃が割引されます。
 『第2種』は本人のみ運賃が割引されます。

※割引率は航空会社又は路線によって異なります。
※航空運賃は早期割引の方が安くなる事もあるので、事前確認が必要です。


【路線バス】
(路線や会社により割引の条件が微妙に異なりますから、ご注意下さい)

 『乗車券』

第1種障害者単独で乗車…5割引(介護者と共に乗車の場合、共に5割引)
第2種障害者単独で乗車…5割引


 『定期乗車券』

第1種障害者単独で乗車…3割引(介護者と共に乗車の場合、共に3割引)
第2種障害者単独で乗車…3割引


【船舶】
 第1種…特等・1等などのクラス問わず本人・介助者共に半額
 第2種…2等に限り本人のみ半額


【タクシー1割引】
 タクシー乗務員に身体障害者手帳を提示すると第2種の方も割引されます。


【所得税の障害者控除】

障害者が所得税の納税本人の場合…所得金額から27万円が控除される。

特別障害者が所得税の納税本人の場合…所得金額から40万円が控除される。


【携帯電話の割引】

「らくちん」第20号(2008年度)に掲載した内容から 各社とも割引額などが変わっております。
障害者手帳をお持ちでまだサービスを受けていない方は、 各社のショップ窓口で相談してみる事をおすすめします。


【NHK受信料の減免】

半額免除の要件…世帯主が肢体不自由で1級・2級の身体障害者手帳をもっている場合です。


【その他の割引】

美術館…半額もしくは、無料で鑑賞できると思います。

シネマ…一般だと1,800円が相場ですが、手帳を提示すると大半のシネマが、 1,000円程度になると思います。(同伴者も1名適用)

東京ディズニーランド…割引なし。
(割引金額はありませんが、施設内に入るとあたたかい気遣いがあるそうです)

大阪ユニバーサルスタジオ…本人と同伴者1名割引適用

※その他、動物園・水族館・各施設などは直接確認してみて下さい。
(割引適用の施設、あると思います)



更生医療

『概要』

身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者で、 その障害を除去・軽減する手術等の治療によって 確実に効果が期待できるものに対して提供される、 更生のために必要な自立支援医療費の支給を行うものです。


実施主体…各市区町村

創設年度…平成18年(旧制度は昭和29年度創設)

対象となる障害と標準的な治療例
 肢体不自由を抜粋すると…関節拘縮、関節硬直⇒形成術、人工関節置換術等


『対象者』

 18歳以上の身体障害者の障害を軽減して日常生活能力、 職業能力を回復・改善することを目的として行われる医療 (種別、等級ともに関係なし)

  1. 入院先の医療機関が、 指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)の対象になっているかを確認。


  2. 申請手順…市区町村の福祉課で必要書類を受け取る。

    • 意見書(医師用)
      障害名、疾病名、現症及び経過、可動範囲などの数値、 入院日数などが記入されます。

    • 更生医療概算額内訳書
      手術費用、包括対象入院費、リハビリテーション代、 自己血輸血保存費などの点数総金額が記入されています。

    • 上記の書類を『入院する前に提出』概ね2ヶ月位の余裕が必要です。

    • 前年の所得により自己負担額が変わってきますから福祉課の窓口、 入院先にソーシャルワーカーさんがいればその方々に確認して下さい。
      (原則、自己負担額が1割負担になります)



高額医療制度

医療機関や薬局の窓口で支払った額が 月の初めから終わりまでで一定額を超えた場合に その超えた金額を支給(還付)する制度。 (入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません)


限度額認定証

入院前に高額な医療費が推測された場合に、 事前に高額療養費制度の手続きをすることで、 入院時の費用の支払いは通常の医療費の3割負担ではなく、 自己負担限度額の負担で済む制度。


『申請方法』

入院される方は、 加入する医療保険から事前に「所得区分」 の認定証を発行してもらう事により、 医療機関の窓口での支払を負担の上限までにとどめる事も出来ます。 この為、一度に用意する費用が少なくて済みます。

※高額療養費が医療機関や薬局に直接支払われるため、 加入する医療保険に対して、 事後に高額療養費の支給申請をする手間が省けます。

※70歳以上の方は、所得区分の認定証がなくても、 自動的に窓口での支払が負担の上限額迄にとどめられます (低所得者の区分の適用を受けるためには認定証が必要です)。

なお、平成24年4月から、外来診療についても同様の取組みが始っています。


障害年金について

『障害基礎年金』

国民年金に加入している間に初診日 (障害の原因となった病気やケガについて、 初めて医師の診療を受けた日)のある病気やケガで、 法令により定められた障害等級表(1級・2級) による障害の状態にある間は障害基礎年金が支給されます。

  • 18歳到達年度の末日までにある子 (障害者は20歳未満)がいる場合は、 子の人数によって加算が行われます。

  • 障害基礎年金を受けるためには、 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、 保険料が納付又は免除されていること、 または初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと (保険料納付要件)が必要です。


『障害厚生年金』

厚生年金に加入している間に初診日のある病気やケガで 障害基礎年金の1級または2級に該当する障害の状態になったときは、 障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。

また、 障害の状態が2級に該当しない軽度の障害のときは3級の障害厚生年金が支給されます。

なお、初診日から5年以内に病気やケガが治り、 障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残った時には障害手当金 (一時金)が支給されます。

(障害厚生年金・障害手当金を受けるためには、 障害基礎年金の保険料納付要件を満たしていることが必要です)


『障害の状態』

障害基礎年金、障害厚生年金及び障害手当金が支給される「障害の状態」 とは身体又は精神に、国民年金法施行令(昭和34年政令第184号)別表 (厚生年金保険法施行令(昭和29年政令第110号)第3条の8において 厚生年金保険の1級及び2級の障害の状態とされる場合を含む。 以下「国年令別表」という。

厚生年金保険法施行令別表第1(以下「厚年令別表第1」という。) 及び厚生年金保険法施行令別表第2(以下「厚年令別表第2」という。) に定める程度の障害の状態があり、 かつ、その状態が長期にわたって存在する場合をいう。


『傷病』

  • 「傷病」とは、 疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病を総称したものをいう。

  • 「起因する疾病」とは、 前の疾病又は負傷がなかったならば後の疾病が起こらなかったであろうというように、 前の疾病又は負傷との間に相当因果関係があると認められる場合をいい、 負傷は含まれないものである。


『初診日』

「初診日」とは、障害の原因となった傷病につき、 初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいう。


『障害認定日』

「障害認定日」とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、 請求する傷病の初診日から起算して1年6月を経過した日又は 1年6月以内にその傷病が治った場合においては、 その治った日(その症状が固定し、 治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)をいう。


『傷病が治った場合』

「傷病が治った場合」とは、 器質的欠損若しくは変形又は機能障害を残している場合は、 医学的に傷病が治ったとき、又は、その症状が安定し、 長期にわたってその疾病の固定性が認められ、 医療効果が期待し得ない状態に至った場合をいう。


『事後重症による年金』

「事後重症による年金」とは、傷病により障害の状態にあるものが、 障害認定日において政令で定める障害等級に該当する程度の障害の状態に 該当しなかった場合で、 当該傷病による障害により65歳に達する日の前日までに、 政令で定める障害等級に該当する程度の障害の状態に該当し、かつ、 65歳に達する日の前日までに裁定請求のあった場合に支給する年金をいう。


『基準傷病、基準障害、はじめて2級による年金』

  • 「基準傷病」とは、既に発している傷病による障害と、 新たに発した傷病 (既に発している傷病の初診日以後に初診日のある傷病に限る) による障害を併合して、初めて、 障害等級が1級又は2級に該当する程度の障害の状態に至った場合における 新たに発した当該傷病をいう。

  • 「基準障害」とは、基準傷病による障害をいう。

  • 「はじめて2級による年金」とは、 既に基準傷病以外の傷病により障害の状態にあるものが、 基準傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、 初めて、基準障害と他の障害とを併合して障害等級が 1級又は2級に該当する程度の障害の状態に至った場合に支給される 障害基礎年金及び障害厚生年金をいう。


『障害の程度』

障害の程度を認定する場合の基準となるものは、国年令別表、 厚年令別表第1及び厚年令別表第2に規定されているところであるが、 その障害の状態の基本は、次のとおりである。


 「1級」

 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。 この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは、 他人の介助を受けなければ殆ど自分の用を弁ずることが出来ない程度のものである。

 例えば、身の回りのことはかろうじて出来るが、 それ以上の活動は出来ないもの又行ってはいけないもの、 すなわち、病院内の生活でいえば、 活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるものであり、 家庭内の生活でいえば、活動の範囲が概ね就床室内に限られるものである。


 「2級」

 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が、 日常生活が著しい制限を受けるか又は 日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。

 この日常生活が著しい制限を受けるか又は 日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、 必ずしも他人の助けをかりる必要はないが、日常生活は極めて困難で、 労働により収入を得ることが出来ない程度のものである。

 例えば家庭内の極めて温和な活動 (軽食作り、下着程度の洗濯等)は出来るが、 それ以上の活動は出来ないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、 病院内の生活でいえば活動の範囲が概ね病棟内に限られるものであり、 家庭内の生活でいえば、活動の範囲が概ね家屋内に限られるものである。


 「3級」

 労働が著しい制限を受けるか又は 労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。

 また、「傷病が治らないもの」にあっては、 労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。
(「傷病が治らないもの」については、 第3の第1章に定める障害手当金に該当する程度の障害の状態がある場合であっても 3級に該当する。)


「障害手当金」

「傷病が治ったもの」であって、 労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。



【下肢の障害について】

『認定基準』
「国年令別表」
 『1級』

  • 両下肢の機能に著しい障害を有するもの (以下「両下肢の用を全く廃したもの」という)

  • 両下肢を足関節以上で欠くもの。


 『2級』

  • 両下肢のすべての指を欠くもの (以下「両下肢の10趾を中足趾節関節以上で欠くもの」という)

  • 一下肢の機能に著しい障害を有するもの (以下「一下肢の用を全く廃したもの」という)

  • 一下肢を足関節以上で欠くもの。


「厚年令別表第1」
 『3級』

  • 一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの。

  • 長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの。

  • 一下肢をリスフラン関節以上で失ったもの。

  • 両下肢の10趾の用を廃したもの。


「厚年令別表第2」
 『障害手当金』

  • 一下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの。

  • 一下肢を3センチメートル以上短縮したもの。

  • 長管状骨に著しい転位変形を残すもの。

  • 一下肢の第1趾又は他の4趾以上失ったもの (以下「一下肢の第1趾又は他の4趾を中足趾節関節以上で欠くもの」という)

  • 一下肢の5趾の用を廃したもの。


『認定要領』
「機能障害」

  1. 「両下肢の機能障害に著しい障害を有するもの」 すなわち「両下肢の用を全く廃したもの」とは、 両下肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したもの、 すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう。

    1. 不良肢位で強直しているもの。

    2. 関節の他動可動域が、 別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、 かつ、筋力が半減しているもの。

    3. 筋力が著滅又は消失しているもの。
       ただし、両下肢それぞれの膝関節のみが100度屈曲の強直である場合のように、 両下肢の3大関節中単にそれぞれ1関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、 その両下肢を歩行時に使用することが出来ない場合には、 「両下肢の用を全く廃したもの」と認定する。
       なお、認定に当たっては、 一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、 その動作を考慮して総合的に認定する。

  2. 「一下肢の機能に著しい障害を有するもの」 すなわち「一下肢の用を全く廃したもの」とは、 一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの、 すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう。

    1. 不良肢位で強直しているもの。

    2. 関節の他動可動域が、 健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、 かつ、筋力が半減しているもの。

    3. 筋力が著減又は消失しているもの。
       ただし、膝関節のみが100度屈曲位の強直である場合のように 単に1関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、 その下肢を歩行時に使用することが出来ない場合は、 「一下肢の用を全く廃したもの」と認定する。

  3. 「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が 前各号と同程度以上と認められる状態であって、 日常生活が著しい制限を受けるか、 又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、 両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの (例えば両下肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が別紙 「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、 かつ、筋力が半減しているもの)をいう。
     なお、認定に当たっては、 一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、 その動作を考慮して総合的に認定する。

  4. 「関節の用を廃したもの」とは、 関節の他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの 又はこれと同程度の障害を残すもの (例えば常時(起床より就寝まで)固定装具を必要とする程度の動揺関節)をいう。

  5. 「関節に著しい機能障害を残すもの」とは、 関節の他動可動域が健側の他動可動域の3分の2以下に制限されたもの 又はこれと同程度の障害を残すもの (例えば常時ではないが、 固定装具を必要とする程度の動揺関節、習慣性脱臼)をいう。

  6. 「足趾の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

    1. 第1趾は、末節骨の2分の1以上、 その他の4趾は遠位趾節間関節(DIP)以上で欠くもの

    2. 中足趾節関節(MP)又は近位趾節間関節(PIP) (第1趾にあっては、趾間関節(IP)に著しい運動障害 (他動可動域が健側の他動可動域の2分1以下に制限されたもの)を残すもの。
       なお、両下肢に障害がある場合の認定に当たっては、 一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、 その動作を考慮して総合的に認定する。

  7. 「身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか又は 労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、 一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば一下肢の3大関節中 1関節が不良肢位で強直しているもの) 又は両下肢に機能障害を残すもの。 (例えば両下肢の3大関節中それぞれ1関節の筋力が半減しているもの)をいう。
     なお、両下肢に障害がある場合の認定に当たっては、 一下肢のみに障害がある場合に比して 日常生活における動作に制約が加わることから、 その動作を考慮して総合的に認定する。

  8. 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものについては、次により扱う。

    1. 一下肢の3大関節中1関節以上に人工骨頭又は 人工関節をそう入置換したものや 両下肢の3大関節中1関節以上にそれぞれ人工骨頭又は 人工関節をそう入置換したものは3級と認定とする。
      ただし、そう入置換してもなお一下肢については 「一下肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するときは、 両下肢については「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」 程度以上に該当するときは、さらに上位等級に認定する。

    2. 障害の程度を認定する時期は、 人工骨頭又は人工関節をそう入置換した日(初診日から1年6月以内の日に限る)とする。

  9. 「身体の機能に、労働が制限を受けるか又は 労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、 一下肢に機能障害を残すもの (例えば、一下肢の3大関節中1関節の筋力が半減しているもの)をいう。

  10. 日常生活における動作は、概ね次の通りである。

    • 片足で立つ・歩く(屋内)・歩く(屋外)・立ち上がる ・階段を上がる・階段を下る「欠損障害」

    • 「足関節以上で欠くもの」とは、ショパール関節以上で欠くものをいう。

    • 「趾を欠くもの」とは、中足趾節関節(MP)から欠くものをいう。
      なお、いずれも切断又は離断による障害の程度を認定する時期は、 原則として、切断又は離断をした日 (初診日から起算して1年6月以内の日に限る)とする。 ただし、障害手当金を支給するべきときは、創面が治ゆした日とする。


「変形障害」

  1. 「長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの」とは、 次のいずれかに該当するものをいう。(偽関節は、骨幹部又は骨幹端部に限る)

    1. 大腿骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの。

    2. 脛骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの。
       なお、いずれも運動機能に著しい障害はないが、 大腿骨又は脛骨に偽関節を残すもの (「一下肢に偽関節を残すもの」という。)は、 障害手当金(第2章「併合等認定基準(併合判定参考表の8号)」) に相当するものとして認定する。

  2. 「長管状骨に著しい転位変形を残すもの」とは、 次のいずれかに該当するものをいう。

    1. 大腿骨に変形を残すもの。

    2. 脛骨に変形を残すもの (腓骨のみに変形を残すものについても、 その程度が著しい場合はこれに該当する)



【体幹・脊柱の機能障害について】

「認定基準」
 『国年令別表』
   1級………………

 体幹の機能障害より座っている事が出来ない程度又は 立ち上がることが出来ない程度の障害を有するもの。
 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が 前各号と同程度以上と認められる状態であって、 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。


   2級………………

 体幹の機能に歩くことが出来ない程度の障害を有するもの。
 身体の機能の障害又は 長期にわたる安静を必要とする症状が 前各号と同程度以上と認められる状態であって、 日常生活が著しい制限を受けるか、 又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。


 『厚年令別表第1』
   3級………………

 脊柱の機能に著しい障害を残すもの。


 『別表第2』
   障害手当金…脊柱の機能に障害を残すもの。


 『認定要領』

  1. 体幹の機能障害
     体幹の機能障害は、高度体幹麻痺を後遺した脊髄性小児麻痺、 脳性麻痺等によって生じるものである。

    1. 「体幹の機能に座っていることが出来ない程度の障害を有するもの」とは、 腰かけ、正座、横座り、あぐらのいずれもが出来ないものをいい、 「体幹の機能に立ち上がることが出来ない程度の障害を有するもの」とは、 臥位又は坐位から自力のみで立ち上がれず、他人、柱、杖、 その他の器物の介護又は補助によりはじめて立ち上がることが出来る程度の障害をいう。

    2. 「体幹の機能に歩くことが出来ない程度の障害を有するもの」とは、 室内においては、杖、松葉杖その他の補助用具を必要とせず、 起立移動が可能であるが、 野外ではこれらの補助用具の助けをかりる必要がある程度の障害をいう。

  2. 脊柱の機能障害

    1. 脊柱の機能障害は、 脊柱の脱臼骨折又は強直性脊椎炎等によって生じるもので、 荷重機能障害と運動機能障害がある。

    2. 荷重機能障害は、脊柱の支持機能の障害で、 日常生活及び労働に及ぼす影響が大きいので重視する必要がある。
       なお、「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が 前各号と同程度以上と認められる状態であって、 日常生活が著しい制限を受けるか、 又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、 日常生活における動作が一人で出来るが 非常に不自由な場合又はこれに近い状態をいう。

    3. 日常生活における動作は、概ね次の通りである。

      • ズボンの着脱(どのような姿勢でもよい)

      • 靴下を履く(どのような姿勢でもよい)

      • 座る(正座、横座り、あぐら、脚なげ出し)

      • 立ち上がる

      • 深くおじぎ(最敬礼)をする

    4. 運動機能障害は、基本的には、 前屈・後屈運動のみの測定で可とするが、 脊柱全体の運動機能をみる必要がある場合は回旋・側屈を測定し認定する。

      • 「脊柱の機能に著しい障害を残すもの」とは、 脊柱又は背部・軟部組織の明らかな器質的変化の為、 脊柱の他動可動域が参考可動域の2分の1以下に制限されたものをいう。

      • 「脊柱の機能に障害を残すもの」とは、 脊柱又は背部・軟部組織の明らかな器質的変化の為、 脊柱の他動可動域が参考可動域の4分の3以下に制限されている程度のものや 頭蓋・上位頸椎間の著しい異常可動性が生じたものをいう。
         しかし、 傷病の部位がゆう合してその部位のみについてみると運動不能であっても、 他の部位が代償して脊柱に運動障害は軽度あるいは 殆ど認められない場合が多いので、脊柱全体の運動機能、 すなわち、前記Bのような日常生活における動作を考慮し認定する。



  3.  障害年金は手続きが複雑、 なおかつ裁定までの時間がかかる為、参考例を掲載します。

    • 初診日・年金加入の確認。

    • 初診日の診療記録が医療機関に残っているかの確認。
       最大の壁がこの診療記録(カルテ)、 この記録が証明出来ないと認定が難しくなるでしょう。

    • 上記の項目がクリアできたら、 診断書(肢体の障害用)・病歴・ 就労状況等申立書を年金事務所で受け取る。

    • 医療機関にて診断書を作成して頂く。


    【病歴・就労状況等申立書の記入】

    • 本人が記入する。

    • 受診していた期間の自覚症状、 日常生活の状況などを具体的に記入。

    • 一つの枠が5年単位になっていますから、 その当時の状況をよく思い出す事。

    • 最後の欄に「日常生活に不便を感じている事」とあります、 下記の内容を参考にし記入して下さい。

      • 階段は手すりなどがないと昇降がとても厳しい。

      • 洋式のトイレしか利用できない

      • 足の爪切りができない…など。

       尚、 個人差がありますから困っている内容を出来るだけ多く記入する。

    • 以上の記入が終了したら次の書類を揃え、 年金事務所へ提出して下さい。
       戸籍謄本・年金手帳・被保険者証・認印・振込先の通帳

    • 障害年金と身体障害者手帳の等級は、全く別物だとお考え下さい。



     障害年金の支給を受けるには、 本人またはご家族による年金の支給申請の手続きが必要です。 なお、障害年金の手続きは複雑ですので、手続きを行う前に、 日本年金機構の「ねんきんダイヤル」 (ナビダイヤル 0570-05-1165)に電話するか、 年金事務所などに赴いて、事前に相談することをお勧めします。

     相談の際は障害年金を申請する方の基本的な要件のほか、 病歴や障害の状態なども確認しますので、 基礎年金番号が分かるものや障害の状態に関する資料をお持ちください。


     今回掲載した福祉制度のデータはインターネット上の情報や 各省庁や自治体などを含め様々な資料の一部を引用して作成しました。 その結果、条文の言い回しなどが理解しにくい点が多々ある事をご了承下さい。



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