編集後記


なかなか原稿が集まらないので、AS診を受診された方に「書いて くれないと薬をださないから……」と脅迫した末に(これは冗談です) 書いていただいたのですが、それぞれに味のある一般寄稿が揃いました。 寄稿してくださった方々に感謝します。

 「AS患者とドライブ」 に書かれているように、交通事故はAS患者にとって怖くて切実な問題 です。最近、交通事故で、一人のAS患者が頸髄損傷で四肢麻痺となられ、 また別の一人はなくなられました。普通の人なら、単なる『むち打ち損傷』 で済んだところです。だからと言って車に乗らない訳に行かないし……。 ASにとってより危険な自転車やオートバイに乗っている人もたくさん います。一般の人よりも怪我が重篤になり易いということを絶対に忘れず に、あとはそれぞれの人生観でしょう。因みに、私は毎日車に乗って います。

 ASIF会議でヨーロッパ諸国の 患者さんに接してみて、去年のアメリカの患者さんのセミナーに出席した 時と同じ印象を持ちました。つまり、薬物療法が主体の西洋医学的治療 が敬遠されつつあり、代わって代替医療、すなわち東洋医学、食事療法、 様々な物理療法、そして心のケアへの期待が高まっているのを実感 しました。病気を押さえ込む医学から自然治癒力を促進する医学への 転換は世界的風潮のようです。勿論、西洋医学は不要という事では ありません。西洋医学至上主義の見直しです。そして、外国の患者 さんは、とにかく一生懸命体操をし、また積極的に社会活動をします。 そのお陰か強い後彎変形に至る人が少なくなっているようです。 難病の患者さんでさえ、人のためになろう、もっと悪い患者さんの 力になろうとする気持ちを持っています。

 大手の銀行や保険会社や自動車会社の合併が相次ぎ、健康人でも 定職を持つことがむずかしい時代となりつつあります。病人には さらに厳しい環境となります。だからといって、負けてはいられません。 心だけでも“らくちん”精神を忘れずに。

(Q)


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