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遺伝子療法が臨床医療に応用されてから数年経ちましたが、
医学研究においては最近よく耳にする言葉です。科学者は、
遺伝子療法は多くの破壊的で致命的な病気を直す鍵となると
信じています。治療法を見つけるために、研究者は、まず
その病因遺伝子、あるいは発症に関係のある遺伝子を見つけ、
その遺伝子（配列）を修正した遺伝子物質を患者に導入する方法を
発見・開発しなければなりません。現在、研究は、良く知られた病気、
たとえば肺癌、心臓病、パ−キンソン病、乳癌、前立腺癌、
慢性関節リウマチに遺伝子がどう関与しているかを発見する段階に
あります。 ジョンホプキンス大学のある研究者は、身体に導入された 「キラ−遺伝子」が時限爆弾のように働いているという報告をしました。 例えば、細胞が、癌に結びつく蛋白質を生産し、健康な細胞は傷つけず 癌細胞だけを殺すための遺伝子物質を放出するまで待機しているという ものです。報告によれば研究の成果は、試験管内の段階までには到達 しました。しかし、人間に対する治験は数年先になるのようです。 ケネス・カルバ−博士（癌化学療法会社）は遺伝子療法を適用した 最初の医師ですが、彼は、遺伝子療法はこれから数年以上の試験期間を 要するだろうと予測しています。発症要因となっている特定の遺伝子を 探しあて、それから効果的な治療法を見つける仕事は大変な作業です。 その障壁（問題）の一つは、修正した遺伝子を患者に組み込む有効な 方法を見つけることにあります。実際には、修正操作を加えられた 遺伝子のごく一部が、遺伝子情報の伝達プロセスをスタ−トさせる細胞に 定着します。例をあげると、カルバ−博士は「私たちは10年前に インスリンに対する遺伝子を見つけましたが、細胞に一旦取り込んだ後、 どの様に働くのか判っていません」と述べています。この障壁（問題）が 克服されこ時、それは糖尿病にとって「祝福の日」になるでしょう！ 遺伝子研究の進展は、人ゲノムの地図がまだ不完全であるために停滞 しています。世界中の研究者が関与している「人ゲノム計画」は2005年 までに５万から10万の遺伝子の地図の解明を目標にしています。人間の 各々の細胞に10万の遺伝子が含まれていると見積もっていることを 想像してみれば、このプロジェクトの壮大さがわかると思います。 関節炎に関しては、遺伝子治療は従来の治療方法に取って代わる治療 となる可能性を秘めています。遺伝子治療は、現在、まだ発病はして いないけれども、欠陥のある遺伝子の治療に使える可能性がありますが、 既に病気が発症した場合でも、使われるようになるでしょう。 リウマチ性疾患の治療に関しては、遺伝子産生物は免疫システムを調整し、 炎症を取り除くことや炎症を起こした組織を保護する可能性があります。 現在、慢性関節リウマチの治療法に対しては、治験第二相にあります。 関節炎の遺伝子療法の研究は、まず許容量と安全性をテストします。 人間のリウマチ性関節に、遺伝子を安全に移植する実験の初期結果は 希望を持たせるものでしたが、新しい治療方法のドアは今、辛うじて 開いたばかりです。 残念なことに、肝臓病治療のために試験的に遺伝子療法を受けていた 米国の18歳の少年の死によって、遺伝子治療（関係者）は敗北感に 苦しみました。ＦＤＡ（食料薬品管理局）はその試験を行った研究所に、 研究を中止するよう指示しました。何人かの専門家は、そのような 試験的治療を受けている多くの人々は既に大変重い病気の状態である と言っています。 その試験的治療による死を非難すべきかどうかは、研究の中止とは 矛盾するものがあります。この特別なケ−スの場合は、その少年の 肝臓に修正された遺伝子を運ぶウィルス（ベクタ−）を注入しました。 使用されたウィルスは、患者に流感の様な徴候を起こすと予想されて いましたが、少年の症状は呼吸困難にエスカレ−トしし、結果的に 死を招きました。 一方、2000年１月30日付のサンデ−タイムス紙によれば、英国の 医師が、死を目前にした末期卵巣癌の女性を治療するために、 遺伝子療法を行ったと発表しています。「これは、癌に対し最初に 成功した遺伝子療法で、他の病気に対しても応用出来ることを示して います。４年前、この女性が危機的な病状であった時に遺伝子治療を 受け、彼女が実際に癌から開放されたと確認されるのに、ここまでの 時間を要したと言うことです。これは遺伝子療法で卵巣癌を治療した 最初のケ−スであり、重要な前進です。どんな卵巣癌患者でも、 ４年以上の生存はなかったとみなすべきでしょう」と、英国遺伝子 療法諮問委員会の会長であるクィ−ンズ大学の遺伝医学のノ−マン・ ネビン教授は述べました。1999年12月初旬、同紙は、パリの医師が 遺伝性疾患に対する最初の遺伝子療法の治療を行ったと発表しました。 現在３千人以上の患者が、癌、エイズ、心臓疾患、関節炎などの 数々の病気に対して試験的な遺伝子療法に参加しています。 |