2005年12月3日(土)
 


△▼12/3のゼミ▼△


本 日の作品

シナリオ       1
ストーリー      1
出席者: 男 6   女 2


 アフターから戻って1時間かけてこの「まとめ」をそろそろ仕上げたところで、突然「電源が切れ掛かっています」という表示がありあたふたしてるうちに、 文章が全部消えた。パソコンは娘の部屋にある。なんか僕には分からない配線変えがあったのか?土曜に30近い娘が外泊するのは当然だが、こういうのは困 る。ああ、一からやり直しか。機械音痴の僕には打つ手がない。
 というわけで、この文章も2度目なんです。
 1か月半ぶりのゼミで、困るくらいに作品が届くかなあと思ったらそうでもなかった。僕は「努力」と「頑張り」嫌いでへらへらやってきたが、これからとい う人をあおるのが好きだ。「鉄は熱いうちに打て」「残された時間は少ない」というぜ。
 新人が入った。須藤大輔君。群馬県の軽井沢の手前の安中市から来る。遠距離シナリオは浜松M君の二代目だ。ずうっと映画が好きで、特に日本映画の「喜 劇」が。で、シナリオ、やってみようと。
その発言の力強さに、僕は手ごたえをかんじた。
 ヘーどんな手ごたえ?と思うだろう。それは、下を御覧なさい、だ。こんな風にシナリオも「興味」を引っ張ってね。
 このところ上海を3回仕事で往復したというKさんの中国クッキーの差し入れがあった。「上海」「北京」といえば僕の思い出の土地だ。それをいうと長くな るので、割愛する。またいつパソコンの機嫌が悪くなるかもしれないから。





1 野原シナリオ「ニート?は世界を救う?」

 長編の第1作だ。おまけに、2週間前に送られてきて、時間ができた時にさあ読もうかとなったら、ポストに「少し直しましたので」という修正稿が入ってい た。それを読み始めたら、また、次のが送られてきた。「また、直しました」と。
 「いいな、いいな」。でも「いい加減にせい」だった。
 分かりすぎるのだ。作者の、不安と充足とそして陶酔が。何十年も前、僕が始めての映画を監督した時も、そうした混乱で幾晩も寝られなかった。「あれでよ かったか?」「ああ、失敗した。俺はおしまいだ」「くそ、なんて才能がないんだ」。そんなことを考えて、悩みぬいた。野原が、初々しいと思った。
 そして、読み終わった。
 「混乱」と「(他人には理解できない)飛躍」さらに「熱い思い込み」が充満するシナリオだった。
 しかも、シナリオの原則的な約束事が守られていない。たとえば、「居酒屋」のシーンがいくつも続いても、必ず「柱」に「居酒屋」とある。そんな場合は 「同」でいいといってきた筈だ。「野原,君はB型か」と僕はいった。僕は血液型で人間を見る。家人が、唯我独尊のB型人間で、僕は細かいA型だからその 30年の戦いは大変で、その苦労をアフターで愚痴ったら、Oだと思ってたら最近Bと判明したKさんに、ああ、それ(家人)、私と似てるといわれた。
 脱線でした。「柱」だけでなく、3度も送ってくるほどだから、セリフのひとつひとつ、話しのつながり、ト書きのいろいろが、「思い込み」の激しさでみち みちていて、よくわからない。
 今風で言うと「セレブ」の女が、さえない年下の男と「愛」をははぐくみかける「話し」だ。後半4分に1は、なかなか「分かる」のだ。作者の思いがこもっ た「情感」がある。作者はいつも「とつとつ」と語る。案に相違して、俺と同じA型らしいが,そんなのあるか。ついパソコンの調子にいらだってことばが過激 になったが、本音は、アシモフが終わりになっても、野原がシナリオやってく時は、どうやら、面倒見ざるを得ないぞ、と覚悟させられる「成り行き」なのだ。 それは、にじみ出る「自分の書いたモノ」への愛とこだわりの強さだ。
 作品のデテイルと大きな修正はみんなの指摘で、本人も、納得していたし、「作り直し」といったら、当然のようにゆうぜんと「勿論」と頷いた。せっかちの 僕は、これが同じ血液型か、とますますいぶかった。
 2稿、3稿も、といったら、ええ、10稿でもと作者の口調は涼やかだった。10分の1か、100分の1か分からぬが、野原に攻め込まれた気がした。


2 須藤ストーリー「ひまわり」

 ヒロインは「老人擁護施設」の職員だ。ここにはいろんなタイプの老人がいる、勿論いはゆる「ボケ」老人もいる。僕は商売でうるさいことがない時は、ちゃ んと「女中」といい「看護婦」といい、「認知症」なんていはない。日本語の混乱は、許せないと思っているので、いつもなあなあの割にはここはきちっとす る。
 それはともかく、咲子は仕事がいやになりかけている。それはそうだ。なんか使命感をもってこの仕事に就いたわけではない。わがままいっぱいの「老人」の 世話が楽しいはずがない。おまけに、高校時代の仲良し絵里は気楽な公務員。恋人もいて、楽しくやっている。おまけに、最近咲子は彼氏に振られてしまった。 ますます気がめいる。
 これは、「新人」のストーリーの出だしだ。みんな最後までスーッと聞きほれた。いつものように本人が読んだのだが、いい声でよどみなく、またストーリー 自体の文章も、いやみがなく素直で筋がとおっていて、「話し」をしっかり分からせてくれるのだ。
 勿論、ヒュウマンな筋立てだし素直だしキレイだし、そんなのに「文句」をつけては罰当たり、というきらいもあるが、ひねくれモノを排除する「すがすがし さ」のパワーがあるのはたしかだ。
 でもなければ、アシモフの海千山千の連中が、ああも好意を示すもんか。
 とりあえず、初めてだというので、いつものように「雨もしくは山」というテーマでショートシナリオに取り組んでもらうことにした。最初から最後まで、す んなり「分かる」ストーリーは、第一の関門で「新人」はそこを苦もなく超えた、といえる。





 アフターはいつもの居酒屋で。新人も連れて行った。当然かどうか、僕が前田陽一の弟子風で、かって空手映画風を撮り云々を知っていた。何でアシモフに? と聞くのは忘れたが、9時半から用事がという。えつ、それまでに安中は無理では、といったら、青年はやおら浅草東宝でやる「土曜オールナイト4本立て」の チラシをみせてくれた。すべて日本映画の旧作(東宝)、しかもほとんどがいい意味のプロラムピクチャアーだった。勿論、ぼくなんかが昔見た・・・。浅草 で、朝をを向かえ彼は、安中への電車に乗るわけだ。以下感慨は「喫茶」で。



国リハ部屋




1.野原シナリオ「ニート?は世界を救う?」

 残念ながら、あまり優しいいいかたは出来ない。まず、読みにくいのだ。作者の独りよがりが目立つ。思いつきで書かれているので非常に意味がたどりにく い。それに、言葉使いがおかしいところが多い。脚本家というのは、日本語の達人でなければならないと思う。
 以上、あえて厳しい言い方をするのは、野原君はもう初心者とはいえないからだ。長編シナリオを書くのは初めてだとしても。
 どうして、ゼミで検討したことをあっさり捨ててしまうのだろう。それではゼミの意味がないのではないだろうか。
 個人的な楽しみがないとシナリオなんて書けないものではあるけれど、それは、自分の創ったドラマに多くの人が共感し、楽しんでくれると思えるからだと思 う。
 ゼミで、なぜストーリーを喧々諤々やるのかということを、もう一度しっかり考えてほしい。筋立てを言い合っているのではなく、ドラマというものを一緒に なって考えているはずなのだから。


2.須藤ストーリー「ひまわり」

 素直なよさがある。作者の優しさが伝わってくる。
 入院したばかりの夏の日、若い人が一本のひまわりをもって見舞いに来てくれてとてもうれしかったという思い出があるので(残念ながらアシモフの女性では なかったけど)、この題名にはとても惹かれた。(もちろん、ソフィア・ローレンの映画も思ったけど)
 介護の女性と老女性という組み合わせは目新しくはないが、主人公が介護の仕事に嫌気がさしているというのがいい。最初から使命感に燃えてられてはやりに くいからね。
 だけど、せっかく素直に読めたのに、途中でシナリオ風になっているところから、調子が狂ってしまった。
 セリフを書いてみたいという気持ちはわかるけど、ストーリーを書くときは、あまりセリフで運ばないほうがいい。セリフは説明ではないのだから。
 その意味で、忠太郎師の宿題は適切だと思う。ショートシナリオで、ドラマというものを一緒に学んでいこう。





 ところで、忠太郎さんへ。
ぼくもB型だけど、けっして唯我独尊とは違うみたいですよ。
…と、本人は思っているのだけど。




次回の定期ゼミは、2005年12月17日(土)です。

以後の予定、1月21日、2月4,18日、3月4,18日
(いずれも13;30から)。


東京芸術劇場5F/NO4会議室
時間は、18:00〜
20分ほど早めに切り上げて忘年会を。
 いつも飲み会やってるから忘年会もいまさらないが、まあ、仕切りだから。

教室が変わる場合があるので、入り口のボードで確認してください。


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ゼミで話し足りなかったことや後から思いついたこと
また、改めて作者に聞きたいことなどがありましたら
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今までにみんなの書いたシナリオのリス トを整理してありますので、
それもご覧ください。

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