ハンドメードパイプの楽しみ
Part 6-2 

                           パイプ本体への装着

マウスピースを装着するには準備が必要です、
旋盤で切ったダボの付け根には’r’が付いています、右片刃のバイトの
先端を丸め、ダボが折れ難くなる様にして有るのです,
この為、ダボ穴を明けたパイプ本体にマウスピースを指し込んでも根元まで
入らず、隙間が出来ます,そこで、ダボ穴の入り口を面取りして’r’が収まる
様にする必要があります、方法は回転やすり〈写真21)を手で
押し当て面取りをします、写真22は面取り後、


                

写真21                   写真22

さて、マウスピースを、これで指し込むと、かなりきつい為、摩擦熱でダボが
傷付く事になります、そのためダボ穴にWAXをあらかじめ塗って置く必要
が有ります,写真23のWAXは弦楽器の調弦ペグ用のものです、
その他、石鹸、蝋燭等でも代用出来ます。細い棒の先端にWAXを着け
ダボ穴の内面に塗り付けます。



写真23

これでマウスピースを指し込む用意が出来ました,慎重に右に廻しながら
指し込んで行きます.完全に押し込み止まったら本体とマウスピース
の間に隙間がないかどうかを確認して下さい,
通常必ず隙間が出来、明るいものにかざすと隙間が見えます,
隙間が見えたらマウスピースを同じく右に廻しながら抜いて下さい.
パイプ本体のダボ口の平らな面を良く見てください、
隙間が有れば(目で見えなくても)マウスピースが一部分に当たって
そこが光って居る筈です,〈写真24〉



写真24

平らな面にサンドペーパーを置き、その上で光った所を押し付ける様に
ダボ面の角度を直して行きます,サンドペーパーは#150、#400などが
良いでしょう,(写真25)
この工程がパイプ作りで最も難しく神経を使う所です、気長にやって下さい。
何度もマウスピースを入れダボ穴のまわり総てが綺麗に光っていれば
OKです、〈写真26〉

                       

写真25                   写真26

以上で次の工程の成型に入れる事になります。



写真27

マウスピースをしっかりと挿入して木部、エボナイト部を鬼目やすりで
削り成型します,この際ダボがゆるいと,やすりの抵抗でエボナイトが
廻ってしまい上手く削れません、写真28
永年の使用にもダボの緩みが起きない為にはここで木部と一緒に
削れないダボでは緩過ぎると云う事を知って下さい.
写真29は鬼目やすりで、ほぼ成型が終わったところです、

              

写真28                    写真29

マウスピースのビットの成型です,写真30
鬼目やすりで削り、細い三角やすり(写真30-1)で
細部を仕上げます。

                  

写真30               写真30-1

この段階でマウスピースを曲げます.
エボナイトは加熱すると(80℃位)柔らかくなり自由に曲げる事が出来ます,
加熱はアルコールランプが使いやすいのですがライターなどでも注意深く
やれば大丈夫です。(写真31-1)
炎から3〜5cm離して加熱、焦げないようにこまめに動かしながら
充分温めます,手で曲げて曲がる様なら(31-2)
ボール、シャンクとの流れを見ながら綺麗な線が出るように
曲げて下さい,そのまま冷やせば曲げ加工終了です,

     

写真31-1                                           写真31-2

続いて丸甲やすりの荒目でさらに中目(写真32)で木部、マウスピースの
全体を綺麗にやすり掛けして、次のサンドペーパー掛けに備えます。
これらの工程に使用したやすり4種鬼目、丸甲荒中目、精密3角やすり、〈写真31)
次の工程のサンドペーパー4種#150、耐水#400、600、1000〈写真33)をお見せします.


写真32



写真33

#150サンドペーパー掛け(写真34)および掛け終わったパイプ〈写真35〉

             
写真34                                                       写真35

ここで一度マウスピースを外します.
擦り合わせる近辺を除き、#400.600.1000のサンドペーパー
を掛けます,耐水ペーパーには水をつけてサンドペーパーが目詰まり
し無い様に、特に#400は一つもやすり目が残らない様に
丁寧に掛けて下さい,(写真36)
写真37が#1000まで掛け終わったマウスピースです。

                  

写真36                                                        写真37

#1000で磨き終わったマウスピースを装着して木部全体と共に耐水#400を
水を付けずに使用し、擦り合わせ近辺のマウスピースも良く磨きます,
ここでも丁寧に磨いて下さい,
#400で磨き終わったら次の木目出しに入ります.写真38
木目出しに焦げ茶のアルコール染料を何度も塗り、良く染み込ませます。
乾いたら(5分位)ティッシュペーパーなどにアルコールをたっぷり染ませ
染料が落ちる所まで拭き取って下さい,再度乾燥させて
耐水ペーパーを水をつけずに#600、#1000で最後の磨きを掛けて下さい.
写真39は#1000を掛け終った所です。

                 

写真38                     写真39
バフに赤棒を着けパイプ全体を磨きます,
木部はバフを軽く当てる様にし、エボナイト部分は強めに
丁寧にバッフィングして下さい,〈写真40)
続いて白棒を使い磨きます,特にエボナイト部分は
完璧にバッフィングして最終仕上げの状態まで磨きます。

                

写真40                    写真41

さあ、着色です、かなり濃い目に着色します、この状態では
艶も無く、木目も見えず、色も冴えません。写真42
良く乾燥させ(30分位)最後の磨きに入ります,
まず、白棒を着けたバフで軽く磨き染料を落とします,
落ちるだけ落としても結構色が残り木目がはっきりして来ます,
最終工程はWAX磨きです。
カルナバ蝋を付けたバフで強く押しつけ摩擦熱で蝋を溶かして
木部に染み込ませます、写真43
その後、軽く当てる様にしてWAXの塊が有れば拭き取る様に
バフを掛けると見事な艶と色調が現れます.

           

写真42                           写真43

これで完成です。

好みで火皿保護材を塗り、刻印を押せば完成です。






以上でマウスピース製作、いや、パイプ製作の説明の終ります。
このパイプは2月のプレゼントにする予定です.