千葉県のトンネル

房総林道と素掘りトンネル

 

 ◆千葉県のトンネル数は全国トップ3に入るそうです。 ただ、その数のほとんどは高速道や国道のものではなく、市町村道のトンネルということです。 それもそのはず、房総半島に存在する小さい素掘りトンネルの数は半端なものではないです。

 房総半島はモコモコとした起伏の多い地形で農耕に適した平地が少ないところです。 またそこに流れる川はくねくねと曲がりくねっています。 そこで先人たちは農地を山間部に求めて入るためにトンネルを掘ったのではないでしょうか。 幸い、このあたりの岩盤は固くなく、人力でもなんとか掘ることができ 重機やダイナマイトを必要としません。このためトンネルの大きさも せいぜい人が通行できれば充分なサイズとなったのでしょう。さらに川にもトンネルを掘って 水流をバイパスさせ、「川廻し」という方法で農耕地を確保していました。

 ここではたくさんの魅力的なトンネルのうち、ほんの一部の紹介になりました。

 (画像をクリックすると拡大します)




「房総半島の素掘りトンネル(1)」

 房総半島には特有の地質(コンコン岩と言っていた記憶があります)をくりぬいた 素掘りのトンネルが数多く存在します。この画像のものは亀山湖近くの坂畑にある素掘りトンネルで、 サイズはこんな感じでジムニーでギリチョンです。

 房総半島はその地形から農耕に適した平地が少なく、そのため農地を山間部に求めて入 るのにトンネルを掘ったのではないでしょうか。幸いにもこのあたりの岩は固くなく、人力で もわりと簡単に掘れる程度です。このためトンネルの大きさも人が通行できれば充分なサイズ となったのだと思います。
 (2001.12.22)



「房総半島の素掘りトンネル(2)」

 素掘りトンネルの中でもぬきんでて感動的なものはこれだと思います。地層の現れ た大きな壁の底の方にぽっかりとあいています。長さは20mくらいでしょうか。

 このトンネルを抜けると道は川の中に入っていき、 こんな感じの不思議に感動的な空間になっています。
 (2004.4.10)



「房総半島の素掘りトンネル(3)」

 房総半島にはこの地方特有の川廻しのトンネルというものが数多く存在します。 人の通行用ではなく水路です。
 これもその一つで、蛇行した河川の近いところどうしをトンネルでつないでバイパスさせ、 干上がったもとの河川床を水田や畑に利用するという、河川曲流短絡工事の結果です。 川廻しのトンネルとは房総地方においては日常的に使われている言葉のようです。
 (2004.4.10)



「国道にある新旧のトンネル」

 これは国道127号線の城山トンネルですが、ほかにも国道465号などに 新旧のトンネルが並行していることが多いようです。旧トンネルは通行可能な場合もありますが、 富津市君津市間の平田トンネルのように完全に塞がれているものもあります。
 (2004.2.28)



「燈籠坂大師のトンネル」

 金谷近くの竹岡に燈籠坂大師があります。国道127号線の城山トンネルの山側になります。 ここにはちょっとユニークな切通しトンネルがあります。 国道側入口のトンネルは30m位の素掘りですがそこを抜けると途中まで切通しになった 素掘りトンネルとなります。背の高い細長のトンネルです。反対側も切通し部分があり、 出たところに大師への階段があります。
 (2018.3.20)
「君鴨トンネル」

 君津市と鴨川市の境界にあるトンネルです。 旧道は新トンネルの上に蛇行しながら登っていく細い道です。 そして旧道の峠にあるトンネルは三島トンネルといい、現在は鉄板で閉鎖されています。
 君鴨トンネルが開通したのは1993年ということで比較的新しいものです。 旧道と旧トンネルはいずれも荒れ放題でしたが、君鴨トンネルが開通する以前は すれちがいもままならないような凄まじい国道であったことがうかがわれます。
 (2004.1.31)



「南無谷(なむや)トンネル」

 国道127号線の安房郡富浦町にあります。 南側からですとこの先の小浜トンネルと2本続けてトンネルがあり、 画像左手の旧道にも旧トンネルが2本あります。
 旧道は民家の軒先のようなところを通り道幅は狭く、トンネル内でのすれちがいは出来ませんが、 照明もあって現役で通行できます。もともとは素掘りであったようでコンクリートで上塗りされていました。
 (2004.1.31)






「永昌寺トンネル」

 小湊鉄道の月崎駅近くの踏切すぐのところに将棋の駒のような形のトンネルがあります。 今回新たに「永昌寺トンネル」と案内板がありました。「明治31年竣工、142m、幅員3.1m、 将棋の駒のような形は日本古来の掘り方で観音掘りという」ということです。
 (2004.4.10)
 (2018.3.20)



「柿木台第一トンネル」

 以前「永昌寺トンネル」を通過したとき飯給駅側にいたる他のトンネルについては特に 印象になかったのですが、2本目については普通の素掘りトンネルであるものの、 集落のあるその先の3本目のトンネルは当時の画像とで比べると電灯が増えていてとてもきれいに なっていました。「柿木台第一トンネル」といい、明治32年竣工(推定)、78m、幅員3.5mです。 同じく「観音掘り」とありました。
 (2018.3.20)



「滝ノ沢隧道」

 房総半島のほぼ中央の市原市古敷谷にある、いわゆる小さい部類に入るトンネルです。 コンクリート造りではありますが幅、高さともに2mの制限となっています。軽トラや小型車専用、 ジムニーに丁度のサイズです。長さは100mほど。
 (2005.3.19)



「向山トンネル(共榮トンネル)」

 養老渓谷の温泉街から筒森に向かう細い道があるのですが、 そこの最初のトンネルは「向山トンネル」といいます。入ってみると中間地点から空が見えました。 2段になっているのははじめに掘られた素掘りのトンネル(向山トンネル)は その出口から川へのルートが狭く急勾配のため、後に西側の坑門付近をさらに掘り下げて川の方向に 直線状に「共榮トンネル」として延長したのだそうです。 元のトンネル部分の側面には防空壕もあることから戦後になってから掘り下げられたとのことです。 2つの名前を持つ珍しいトンネルです。なぜか緑色に見えるところも不思議です。
 (2005.3.19)
 (2018.3.20)



「濃溝の滝(亀岩の洞窟)」

 朝日が差し込むと水面に反射した光とともにハート型に見えることから 注目されるようになりました。この人気スポットは「濃溝の滝」として広まっていますが、 正しくは「亀岩の洞窟」で川廻しのトンネルです。トンネル内も滝のようになっているので 紛らわしいのですが本当の「濃溝の滝」は少し下流の農業用に水車を回すために溝を掘ったところの滝 ということで「農」がいつの間にか「濃」になったということです。
 以前、鍋石の川廻しトンネルとして探したこともありましたが、 それほど注目されていなかったためか見つけられなかった場所です。今は立派なトイレ付駐車場、 渓流広場、遊歩道があって、さらに案内板、「幸運の鐘」まであり、すっかりカップル向けになっています。
 (2018.3.20)
メニューに戻る


ホームページに戻る