『好き』ということ







「・・・・・あっ・・・も・・・やめ・・」
「まだだよ、仁・・・」
「ンっ・・・ああ・・っ!」




「・・・おい!てめぇ、いい加減にしろよ!?」
いつまでも貼りついたまま離れない千石に苛立ち紛れに声を荒げる。
「ん〜?だって明日も休みだし?いいじゃん、たまには」
そう言いながら手は今だ亜久津の肌の上を滑っている。
「・・ざ・・っけんな!何回やりゃ気がすむんだ!」


部活後、いつものようにマンションまでついてきて。

なし崩しにコトに及んで。

今に至る・・・。


「ちょ・・・マジでやめろ!」
一向に動きを止めない千石の手首を押さえつけ制止を促す。
背中からは千石の笑い声。
後から抱きすくめられるように抱えられている為表情は見えないが
おおよその検討はつく。
「笑ってんじゃねーよ、バカキヨ!」
「だって可愛いんだもんv」
腹の辺りに落ち着いている千石の手の甲を思いきり抓り上げた。
「痛っ!」
「アホぬかしてんじゃねーよ!いいから離せ!」
「・・・ひどいなぁ・・・もう。仁だって満更でもないくせに〜」
項の辺りに顔を埋めてぶつぶつと文句を言っている。
暖かな息がかかってどうにもくすぐったい。
「限度ってもんがあるだろうが」
それでも離れようとしない千石にほとほと溜息をつく。

身を捩って逃れ様としても千石の腕はそれを許さない。
「・・・千石」
怒気を孕んだ声で呟くが、それでも怯む様子もなく。
「しょうがないなぁ・・・」
口調はのんびりと。
でも腕の力はしっかりと込められていて。
横向きだった亜久津の体はあっというまにころりと仰向けに返された。
「・・・に、して・・」
上から見下ろしている千石の笑顔に言葉が詰まる。
亜久津の両腕は頭上にしっかりと千石の腕によってシーツの上に繋
ぎとめられていた。
「・・・・手ぇ、離せや」
「嫌で〜す。だって仁ってば大人しくしてくれないでしょ?」
当たり前だ・・・という前に唇が肌に降りてくる。
「・・・・っ・・」
先ほど付けられた赤い痕の上をゆっくりと滑っていく。
途端強張った体を千石はおかしそうに笑った。
「そんな硬くならないでよ?」
「・・る、せっ・・」

「ね、仁・・・もっかいしよ?」
耳元で低い声がそう告げる。
返事を待たずに千石の片手は亜久津の下半身へと伸ばされていく。
触れた瞬間体がビクリ、と反応を返した。
手の動きはそのままに顔を上げるときつく目を閉じている亜久津の顔
を覗きこむ。
「・・・・さ、どうする?仁」


答なぞわかっているのに。
答られないのも分っているのに。


頭上にあった手を外すとその手で亜久津の上気した頬に触れる。
軽くキスをして、そっとその唇を舐めあげた。
まるで答を待つように・・・
「・・・・仁・・・・」
自由になった亜久津の腕がためらいがちに千石の首に回されていく。
千石の肩口に顔を埋めた亜久津からは聞き取れるか聞き取れないか
の小さな呟き。
「・・・え?」
「も・・・・いいから、早・・っくしろ!」
潤んだ瞳がそう告げる。
千石は満足そうに笑うと本格的に愛撫に移るべく体制を整えた。





「あ〜〜〜の、さぁ・・・あっくん?」
ベットで横になったまま動かない亜久津に声をかけてみる。
返事は無い。
「・・・・夕飯、どうしようかぁ・・・・?もうこんな時間だけど・・」
殆ど独り言に近い言葉。
すでに時計は9時を過ぎていてとても夕飯、という時刻ではないのだ
が。
そういえば夕飯もまだだった、と思い起き出して作ってはみたものの、
とても食べられる状態でもなくて。
モソモソとベットの上の人影が動く。
「・・・あっくん?」
布団を頭から被って丸まっている亜久津の顔はこちらからは伺うこと
ができない。
「・・・・・・
ねぇ・・・」
「え?何?」
微かな声に耳をすます。
「食えるワケ、ねーだろうが・・・食いたきゃ勝手に食え」
掠れた声。
千石はそっとベットまで近づいて丸まっている亜久津を覗きこんだ。
「・・・・ごめんね?」
ほんの少しだけ布団からはみ出している髪に指を絡ませて謝って
みる。
「・・・・るせぇよ・・・眠みーんだよ、俺は・・」
確かにウトウトとした声なので絡ませていた指を名残おしげに離すと
苦笑した。
一応無理をさせたのは自分だという自覚はあったりなかったり・・・
仕方なく部屋を出ようとして、ふとベットサイドに戻り、小さく亜久津の
耳元(であろう部分)に近づいて
「掠れた声って色っぽいよね?あっくんv」
そう言うと途端すごい速さで枕が飛んでくる。
「危ないよぉ〜あっくんってば」
すんなりそれを避けた千石はすでに部屋の扉まで逃げていた。
「るせぇ!死ね!アホ!!」
あはは〜という笑い声とともに千石の姿は扉の向こうに消えた。
残されたのは痛む咽喉とダルイ体を持て余す亜久津。
それでも拒めないのは自分自身。
「・・・・大概甘いよな・・・クソッたれ・・」
もう一度布団を被りなおすと今度こそ深い眠りにつくべく目を閉じた。


「・・・・いや〜あそこで枕が飛んでくるとは思わなかったなぁ・・・」
さっきから緩みっぱなしの笑顔で千石が呟く。
リビングには冷めてしまった二人分の食事。
それを冷蔵庫にしまい、綺麗に片してしまってからソファーへと落ち
着いた。
明日は休み、家の心配もない。
あるとすれば明日亜久津が起きてこれるかどうかの心配。
「だって可愛いんだもん、困ったねぇ・・・」
思い出してはまた緩んでくる口元を手で押さえる。




取り合えず明日は亜久津とのんびりとこの部屋で過ごすことに決めた
千石なのであった。









勝手に人の休日の過ごし方を決めてるし(笑)
・・・や〜〜〜「最初からヤリまくってるラブSS」
のリク(御幣有り?)はクリアできてませんか?
難しいですねぇ…以外と。
ただヤッテるだけってのも・・・
最近ラブラブばっかり書いててちょっと禁断症状かもしれません;
本当に不甲斐無いです、私;;
冬二さんにはお世話になりっぱなしなのに!
素敵SS貰ってばっかでちゃんと返そうと思ったのに!
・・・・駄目駄目くんv
遅くなりまして申し訳ありませんでしたm(−−)m
2800HIT有難うございます。    なる。