フェロモン 走れエロス!愛のタイムリミット | ||||||||
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英丸は激怒した。 かの傍若無人な姉の言葉、「都会の女にあんたのフェロモンは効かない」 との言葉を真に受けて、田舎から引っ越してみても、 状況は変わらなかった。 興奮、及び緊張すると、フェロモンを発散する体質の英丸にとって、女は苦痛でしかなかった。 英丸は単純な男だった。 今日も有給を取って仕事を休み、家で寝てばかりいるような姉であったが、 「私はあんたを心配すると夜も眠れないのよだから寝かせてーン」 今までの言葉は自分を心配してくれているのだ、そう思うと、 全てを許せてしまう、そんな男だった。 そんな英丸が恋をした。 相手は同じ学校に通う「春菜ちゃん」、 今では日常となった通学路、フェロモンを発散してしまうが為に、 これも日常となった「辱め」にうんざりしていると、 彼女はそこにいた。 栗色の髪をなびかせ、校門に佇んでいる彼女は、 始めは「女」、自分の目の敵とする「女」の一人でしかなかった。 ああ、運命とはこのことだろうか、 彼女は英丸と同じく特異体質であり、英丸のフェロモンに何の反応も示さなかったのだ! そして英丸は恋をした。 もっとも、それが恋とわかるまでには、多少の時間を要するのだが。 しかし、英丸には特異体質があった。 フェロモン…全ての女が英丸の元へ集い、性を強要する体質。 過去の英丸にとって、それは心を深淵へと誘うものでしかなかった。 現在の英丸も、その体質は変わらなかったが、心は違う。 暗く深い闇から導いてくれた、ただ一人の女性が存在するのだ。 「春菜ちゃん…! どんなに艱難辛苦が待ちうけていようとも、この想いさえあれば負けはしない…! そこに春菜ちゃんがいると思えば、自分自身に打ち勝つことなど造作ないこと! その心がある限り……!」 そうだ!走れ英丸!!春菜ちゃんの元へ!! 災厄は英丸を逃がさない。 彼の生まれついた運命か、はたまた神の与えたもう試練か、 次々と襲いかかる女達。 春菜ちゃんの元へ急ぐ英丸だが、心はくじけそうになる。 「ボクは精一杯頑張ったのだ、 そんなボクが、目の前にあるこれほどの快楽に逆らえないことを、誰が批難をしようか。 ああ、もう、どうでもいい。今ある快楽に身を委ねることこそ、ボクの定まった運命なのかもしれない。 春菜ちゃん、許してくれ。こんな薄い精液しか出ないボクなど。」 それでも立ちあがろうとする英丸、 「ダメだ、ボクには春菜ちゃんが待っているのだ! あの時決意したではないか、ボクはボクの手で運命を変えてみせると! 這いつくばってでも春菜ちゃんの元へ辿り着くと!!」 英丸は単純な男だった、だからこそ、この決意は揺るがなかった。 だが、ああ、なんということだろう。神は彼を許さないとでもいうのか…! 英丸を襲う女達は、彼の決意なぞ何処吹く風、あの手この手で迫ってくるではないか!! ついに英丸は膝を折った。 「春菜ちゃん、ありがとう、君はボクを信じてくれた、 いまだって、君はボクを無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。 ボクは君を欺くつもりはなかった、ボクは急ぎに急いでここまで来たのだ。 女達に強要されても、ボクだから立ちあがれて、ここまで来れたのだよ。 今思えば、沢山の女達と出会い、そしてヤられた。 あんまり沢山なんで、 喋ってる言葉は多いけど、そのわりにワンシーンのCGが少なくって、 この世界を作った神様が手を抜いたんじゃないか、 綺麗なCGも宝の持ち腐れ、使い方を誤っていると思えるほどだったよ。 もう嫌になった、ばかばかしい。」 英丸の脳裏には、今までの出来事が走馬灯のように蘇った。 ふと、春菜ちゃんの笑顔が横切る。 英丸は立ちあがった、今度こそ、地に足をつけて。 「ボクは信頼されている、ボクは信頼されている、先刻の悪魔の囁きは、あれは夢だ。 ボクが今見ているものは?これは現実だ。 ありがとう、春菜ちゃん。君のおかげで勇気が出てきた、 君のおかげで、再び立って走ることができるのだ。」 もう英丸に迷いは無い、 春菜ちゃんの元へただひたすらと走るのみ。 春菜ちゃんは、英丸を信じてずっと待っていてくれた。 「ありがとう、英丸君。」 「ありがとう、春菜ちゃん。」 二人はごく当たり前のように抱き合い、そして接吻を交わした。 そう、あの時は気づかなかったが、これが恋なのだ、愛なのだ。 二人は互いの愛を確認し合い、そして結ばれようとしている。 その結果、今まで散々エロ経験値積んだのに、ラストはこの程度のプレイで終わりかよと思っても、 詮無き事、 それこそが愛の結晶なのだから。 |