尾行3 | ||||||||
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このゲームに対して云々する前に、まずは2004年1月29日にイリュージョンが発表したこれからの方向性、いや、3Dエロユーザーからしたら宣戦布告と受け取れる事実について語らねばなりますまい。 もう一つの大手3Dエロブランド「FORESTER」がポシャったり、その他ブランドが過去作をDVDPGでリメイク、という名のお茶濁し作戦を行ったり、3Dフェチにはお寒い中で2004年を迎えました。既に発表されていたFORESTERの「EDEN FINAL」やこの「尾行3」の発売が、04年1月に固まって出るということで、多少なりとも光明が見えた矢先の、3Dエロトップブランドが発表した事実、というのも付け加えさせてもらいます。 「イリュージョンがゲームをやめる」 …とまぁこの発表だけなら、正直な所驚きはありませんでした。エロを止めるといった、3Dフェチを心底落胆させる事実ではなく、ゲームを止めると言ってるだけの話であり、今までイリュージョンのゲーム作りに対する姿勢(あくまで姿勢だけ)は評価しつつそこを放棄する事に多少の落胆はありながらも、結局はモデリングも含めたエロシーンの出来こそが、3Dエロ作品を評価する上で一番重要な部分でしたから。 しかし、「ゲームをやめる」後の代替案が酷すぎる。いや、イリュージョンにとっては代替なんて生易しいもんではなく、社運を賭けたプロジェクトかもしれないんだが、その中身が「ポリゴン人工知能」に「映画」とくれば、端から見てりゃ鼻でせせら笑うぐらいの今更感漂うセンスゼロ企画に見えて、誰かが大いなる意思からの啓示でも受けたのかしらなんてここで心配するようなファンこそ大事にしろよイリュージョン、と余計なお世話から罵詈雑言まで言いたい放題になるのも無理はないかと。 彼等が神の啓示を受けたのなら、俺も預言を授かりました。 「ポリゴン人工知能」ですけどこれ人工知能と言いながら所詮デスクトップアクセサリーです。預言っつーか誰でもわかるわ、なノリツッコミが出来る程、次世代機やらITバブルやらの頃に同じコンセプトを見たもんですが、んまあデスクトップ上でデドアラビーチバレーのかすみたんがちょっとブサイクになりつつも踊ってくれる(ポロリあり)と思えば、全く新しいコンセプトと言えなくもないのである程度の期待は出来ます。 しかし「映画」。オフィシャルサイトの言葉を更にプラスすれば「ハリウッド」。デジタルやってる人には同じ神様が執り憑くんでしょうか。それは神様じゃなくて悪魔だよ、つー事を学習しないイリュージョンに本気で頭にきた人は多分イイ人だと思います。 そんな俺も「イリュージョンが映画」と書く度に話を逸らしたくなる夢見がちな男ですが、ビジュアル重視の3Dゲームメーカー(エロ)が映画に進出、という心底トホホな事実は、ゲーマーには細かく言う必要のない共通の感覚ではないでしょうか。 そこで“尾行3”です。イリュージョンの正にターニングポイントとなった本作は、重大発表の一日後に発売されました。そもそもイリュージョンというメーカーは、殆どコンシューマのパチモンばかりをリリースしてきました。“ブルーティッシュマイン”しかり“バトルレイパー”しかり“デスブラッド”しかり。どうしてもゲーム性に劣るエロゲーの中で、コンシューマのパチモンを出すのに嫌悪感は余り無く、大上段から言うなら模倣が新たな文化を生むかもしれない。とは言えこうして形から入ってしまったエロゲーに他人にお奨め出来るゲームはありませんでした。 しかし、“インタラクトプレイ”シリーズと“尾行”シリーズだけは違いました。インタラクトプレイは痴漢、尾行はそのまんま、それらエロのシチュエーションをどうやってゲームに結びつけるか、コンセプトの段階でここまで違います、そしてエロゲーという枠でそのコンセプトは崇高ですらあります。まだ発展途上なのは否めないですが、それでもエロシーン以外のゲーム性の部分で勃起できるゲームが、エロゲー界にどれ程あるでしょう。 “尾行3”はかくれんぼと鬼ごっこを混ぜたようなゲーム性を、リアルタイムポリゴンで行うゲームです。鬼は主人公、逃げるのは女、特定の場所で捕まえればエロシーン突入という手筈です。マウスの動きで方向転換、左クリックで前進といった操作方法は慣れるまで多少の時間がかかりますが、女の行動パターンは常に一定の覚えゲー、慣れればスムーズに進める事が出来ます。 基本的にはかくれんぼなので見つからないのが大前提、塀に隠れてゴミ箱に隠れて気配を隠しながら…おっと郵便ポストから戻ってきた、急いで別の隠れるとこ探して…、うーん困った。 何に困ったかと言うと、別に隠れる場所に困った訳では無く“尾行2”との違いを見つけられないから。女キャラとマップパターン変えただけジャンかヨ! それ程完成されたゲーム性でもなく、隠れる場所や女の動きを理不尽に感じる事もしばしば。慣れが必要な操作といっても単純なので、決して深みのあるゲーム性ではない所。改良点があるとすれば、尾行途中にパンチラ等の無防備シーンを覗き見出来る事ぐらい。 それでもこのゲームには未来が期待出来るんです。3Dエロのキモと言えるグラフィックの質は、パッと見にはわからなくても比べればわかる程度に上がってるし、何より一点しかない改良点でも、“尾行”の将来を考えれば、ゲーム性の合間に覗き見なんて、これからいくらでも膨らませられる素材。確かに“尾行3”を見ればバージョン違い程の差を一本のゲームとして売るな、という不満もありますが、前作未経験ならこんなゲームもアリだと思うし、3Dに先行投資な俺としてはまた未来が見えただけで満足です。 グラフィックの向上は勿論エロシーンもそうであり、イリュージョンお得意のリアルタイムポリエロシーンで真価が発揮されています。服脱がす為にクリック、乳首にクリックでアタック、ピストン運動はマウス擦りで昇天、これらがリアルタイムポリゴンで描写されてると言ったら、数年前なら悪い冗談にしか聞こえなかったところ、グラフィックの向上がユーザーを納得させるまでに上がってきてると思います。 そしてリアルタイムポリゴン精液。と言っても実装した事に意義があるという段階で、質感がここだけトゥーンシェーディング?なぐらいにリアルタイムペンキ塗りにしか見えないけれど、今まで決定的に足りなかったフィニッシュ部分を導入した事は、リアルタイムポリエロで本気で抜かせようとしてるプライドが見えて、感慨深いものがあります。 ただやっぱりリアルタイムポリエロだとオナニーに適さないPCのインターフェース、マウスを擦りながらそっちも擦る器用さは持ち合わせてないんで、リプレイの導入等を考えてほしいところですが。 というのが“尾行3”の評価だったはず。次に期待しているのはあくまでイリュージョンが“尾行4”やらを作った場合の話であって、次に出すのが“映画”であれば、話は全く変わってしまう。 映画に大切なものは何か?この問いに色んな意見が出るのは当然だけど、とりあえず挙げるとするなら俺は「脚本」と「演出」だと思います。“尾行3”が前述の“尾行4”へのステップでは無く、映画製作への過渡期だとしたら… まず脚本。イリュージョンテイストがフルスロットル。もちろんブレーキは壊れてる。 と言えばわかってる人はボクと握手してもらえそうですが、わからない人に言うのであれば、センスゼロのご都合主義展開とでも言いましょうか。尾行ターゲットのキャラクターをろくに掘り下げないまま、服装と短い会話でキャラクターを立てる、しかもそのキャラクター達は清純派女学生やらSFお姉さんやらのいかにもなエロゲー記号だから、掘り下げてないのに展開が予想できるヘタレセンスっぷり。後ろ付け回した末に強姦ならエロゲーとして当然でも、途中の選択肢によっては付け回した末に結ばれる愛、なぜかと聞けば「実は私も貴方のことが…」と言い出す始末。 次に出すのもゲームであれば、こんな揚げ足取りするつもりは無かった。何故なら“尾行”には別の良さがあったから。しかし次に出すのが映画であって、ターニングポイントとなる本作に今まで通りのイリュージョン爆発なシナリオ持ってくるのであれば、次の映画もそんな脚本である確率って、サザエさんが来週も続く確率と同じようなもんでないか? 次に演出。実はこっちの方が大事だと思う。スカッとするドンパチアクションも考えてみればバカ脚本というのもありがちだから、とりあえず見た目が派手ならFF[のように成立するもんですが。 ゲームスタートして尾行ターゲットセレクト、そして踊るターゲットの女。モーションキャプチャーしてる(らしい)パラパラ(っぽいもの)を踊りだす女、おい、ゲームスタート一発目からお先真っ暗な演出持ってきてどうすんの?な暗黒舞踏を踊りだす女。パラパラを踊らせる、という時点で微妙に流行から遅れてる所もイリュージョンセンスなら、パラパラというより有吉の踊る黒田節と言う方がしっくりくるのもイリュージョンセンス、せめてカッコいいカメラワークで煙に巻いて欲しいところも、リアルタイムポリゴンで全方位視点のユーザーにお任せカメラ別名丸投げ、ターニングポイントのオープニングデモでカッコ悪さをアピールするイリュージョン。 ゲーム中での演出も、プラスに働いてたリアルタイムポリパンチラというエロゲーお約束の出来事が、エロゲーだから入れた演出というよりも、イリュージョンだから入ってしまったありえない演出に見えるからさあ不思議。いいですかー映画にこんな露骨なパンチラ入れないでくださいよー貴方達映画でしょーハリウッドでしょーありえないというのはマイナスですからねー、と言っても届かないであろうイリュージョンの爆発したセンス。 尾行3単体で見れば及第点でした。重大発表とほぼ同時に発売されたと考えれば、最低最悪のゲームでした。3Dエロに必ず使っていた言葉「次に期待」が、こんなにも、こーんなにも萎んでしまうゲームだなんて、俺には初めての経験でまた一つ大人になれそうです。という皮肉もイリュージョンに届くはずも無く、今となっては彼等の3Dエロに対するプライドと、彼等の壮大かつくだらねぇオナニーに付き合ってる3Dエロユーザーに、次回作で止めを刺さないことを祈るばかりです。俺も含めてな。 追記 イリュージョン映画は劇場版“餓狼伝説”みたくなる気がしてます。コマ送りで見ると不知火舞の乳首がピンク色までバッチリ書かれてるのが確認できる映画。見てるこっちが恥ずかしくなる映画。でもいっそこんな映画をメディアプレーヤーで再生するようなものをイリュージョンが作るほうが、幸せなのかもしれないなぁお互い。 |